zo-santotea’s diary

読書日記。1週間に3回アウトプット。

「黙字録」池上永一

ハードカバーで上下になっていてなかなか読み応えのある本。

 

沖縄の1700年前後の踊り手の話し。小国である琉球が清国や日本と対等に渡り合っていくには、芸能の道を極めるしかないと、新しい組踊というスタイルを築き上げる。

武力が無いからこそ、美しさで圧倒させて、国の権威を保つ。文化というのは人の憧れ。憧れの国を征服しようとは思わない。そういう強い信念が入っている小説だ。

前に読んだテンペストより人物描写が深くて好き。

主人公である了泉は、踊りの才能に溢れているが、貧しい。人として毎日生きているとは言えないような生活をしている。ただ、お師匠様に見出され、踊り手として江戸に登る。手段を選ばずただ、生き残る為に力を尽くす姿が伝わってきた。その後有頂天になって、坂道を転げも散るように転落して、自分を見つめなおしてできた人になるっていう、さらっと書くとよくある話なんだけど。

了泉は月しろという、太陽しろである首里天加那志の反対で、苦しみ等を引き受ける。ただただ一緒にいたいと思っていたマンマを捨て、ご自分の義理の親を殺し、子供も自分のせいで死ぬ。そこまで悲しみを背負うものなのかと。君主に仕えたことがないわたしにはわからない感情なのかな。

 

好きだった部分。

失敗をまだ知らない少年期の傲慢さが眩しい。欲しいものはなんでも容易く手に入ると純粋にしんじているまなざしだった。了泉の舞いは未来に疑いがない。

 

今度沖縄行ったら行きたいのは神々が集う成長久高島(くだかじま)

以前は神事と政治は一体で、王が巡礼するのが最大の公務だったけど、廃止になった。沖縄本当から全景が見えるほど高いけど、波が激し君主なかなか島にたどり着けない。男子禁制でイザイホーという島の女が神女として就任する儀式をする島。

 

2019/1/20-1/31